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仲裁手続に関するQ&A

国際商業会議所日本委員会(ICCJ)では、仲裁手続きに関するご質問を電子メールで受け付けております。いただいたご質問は専門家に回付し回答いただきますの で、数日間のお時間をいただきたく、ご了解願います。

なお、中立性確保の観点から、個別案件への具体的アドバイスは致しかねます。また、法的事項を含むご質問はお近くの弁護士へご質問いただきたく、よろしくご了承 願います。

仲裁手続に関するQ&A

  1. 1. 総論
  2. 2. 仲裁の申立
  3. 3. 答弁書の提出
  4. 4. 仲裁人の選定
  5. 5. 仲裁廷への事件記録の送付
  6. 6. 仲裁廷への事件記録の送付
  7. 7. 仲裁廷への事件記録の送付
  8. 8. 準拠法
  9. 9. 付託事項書
  10. 10. 準拠法
  11. 11. 費用
  12. 12. 期間
  13. 13. その他

【質問1.1】 調停と仲裁の違いはどのようなものですか?

【回答1.1】

調停と仲裁の最も大きな相違点は、民事上の紛争の解決方法の内容を最終的に決定する主体が、当事者であるか(調停人などの第三者の協力は得ます)、第三者である仲裁人(仲裁廷)であるかという点です(当該相違に付随して、手続の進め方なども異なります)。

調停は、民事上の紛争について、当事者間で和解が成立するように、当事者が指名した調停人などの第三者が介入する手続です。調停では、当事者以外の第三者が、手続中に紛争解決のために働きかけを行ないますが、紛争解決の内容は、最終的には当事者が合意によって決定します。

通常は、調停がうまくいった後、「和解契約」という形式で紛争が終結します。

仲裁は、民事上の紛争について、当事者がその解決を第三者である仲裁人(仲裁廷)に委ね、仲裁人の判断に終局的に服することを合意する手続です。仲裁では、仲裁手続に服するという合意があれば、紛争解決の内容は、当事者の主張を踏まえた上で、最終的には裁判所ではなく仲裁人(仲裁廷)が決定します。

仲裁人は当事者によって選任されることもありますが、たとえばICC仲裁の場合、仲裁手続を管理するICC仲裁裁判所が仲裁人を選任します。

当事者は、仲裁による解決に合意した以上、仲裁廷の決定である仲裁判断の内容に拘束されます。不利な判断を下された当事者が任意に仲裁判断に従わない場合、有利な判断を得た当事者は、仲裁判断を根拠として強制執行を行なうことができます。

外国仲裁判断の承認・執行に関する多国間条約として、仲裁判断の承認と執行に関する条約(「ニューヨーク条約」と呼ばれています)があります。このニューヨーク条約は、日本を含む全ての条約批准国における仲裁判断の執行を促進しています。ニューヨーク条約に関するより詳細な情報は、下記Websiteをご覧下さい。

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日本の場合には、有利な判断を得た当事者は、日本の裁判所において仲裁判断に関する承認・執行決定を得る必要があります。

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【質問1.2】ICC仲裁は、ICC仲裁裁判所が行なうのでしょうか?

【回答1.2】

ICC仲裁裁判所(Court of Arbitration)自身は仲裁を行ないません。ICC仲裁裁判所は、ICC仲裁裁判所事務局(Secretariat)の助力を得ながら、ICC仲裁を管理するために、ICC仲裁規則にて定められた機能を果たします。

ICC仲裁の申立ては、ICC仲裁裁判所事務局に対して行われますが、実際に仲裁手続を主宰し、仲裁判断を行なうのは、仲裁人又は複数の仲裁人によって都度構成される仲裁廷(Arbitration Tribunal)です。

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【質問1.3】他の仲裁機関と比較した場合、ICC仲裁にはどのような特徴がありますか?

【回答1.3】

他の仲裁機関と比較した場合のICC仲裁の特徴としては、付託事項書(Terms of Reference)(ICC仲裁規則23条参照)と仲裁裁判所による全ての仲裁判断の審査(Scrutiny)(ICC仲裁規則33条参照)の二つが挙げられます。

付託事項書(Terms of Reference)は、当事者が仲裁申立書及び答弁書をICC仲裁裁判所事務局に提出し、それらの記録が仲裁廷に送付されてから2ヶ月以内に作成されます。

付託事項書(Terms of Reference)を作成することによる利点又は機能としては、

  1. ① 当事者の請求、求める救済方法及び決定すべき問題が要約されること
  2. ② 仲裁当事者・仲裁代理人・仲裁廷・適用される法・仲裁地・仲裁の開催場所・仲裁の言語などの重要な点を記録できること
  3. ③ 付託事項書(Terms of Reference)の作成を通じて争点が明らかになることで、和解解決が促進されることなどがあります。

(実際、多数のICC仲裁事件が、この段階において当事者間で和解解決され、申立てが取り下げられています)。

ICC仲裁規則33条によれば、仲裁廷はICC仲裁裁判所が仲裁判断の審査(Scrutiny)を実施するための仲裁判断のドラフトを作成します。

ICC仲裁裁判所は、すべての仲裁判断についてその形式に関する修正を行い、また、実体判断に関する点について、仲裁人の注意を喚起します。このプロセスが、ICC仲裁の仲裁判断が執行可能になるものにする上で役立っています。

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【質問1.4】どのような場合にICC仲裁の申立てを行うことができるのですか?

【回答1.4】

仲裁は当事者の合意に基づく手続ですので、仲裁によって紛争解決を行なうためには、当事者間に仲裁合意(arbitration agreement)がされている必要があります。仲裁合意は、契約書の中で、契約に関して生じた紛争を仲裁手続によって解決することを定める仲裁条項という形で行なわれることが多いですが、実際に紛争になった場合に当事者間で文書により合意することも可能です。

ICC仲裁を申し立てるためには、当事者間にICC仲裁によって紛争を解決するという合意があることが必要です。契約書で、契約に関して生じた紛争をICC仲裁によって解決することを定める場合の参考条項については、下記のICCのWebsite内の推奨される標準的な仲裁条項(Standard ICC Arbitration Clauses)をご参照下さい。

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なお、ICCのWebsiteには、契約交渉の段階での仲裁条項の作成に関する情報などその他の有益な情報も含まれておりますので、あわせてご参照下さい。

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【質問2.1】ICC仲裁規則の下で、仲裁手続を開始する場合、仲裁の申立てはどのように行なえばよいのですか。

【回答2.1】

仲裁の申立ては、パリのICC本部又は香港にあるアジア支部のICC仲裁裁判所事務局に(北米に関連する申立については、ニューヨーク事務所にも提出可能)、仲裁申立書(Request for Arbitration)を提出して行います(ICC仲裁規則4条1項)。

申立てに当たっては、ICC仲裁規則4条3項の要件を充足しなければなりません。仲裁申立書に記載すべき事項は、ICC仲裁規則4条3項の(a)から(h)に定められております。ICC仲裁規則は、下記のICCのWebsite内にてご覧頂けます。

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なお、申立書は、相手方当事者用の通数(例:相手方が2名の場合は2通)、各仲裁人用の通数(例:仲裁人が3名の場合は3通)及びICC仲裁裁判所事務局用の1通の合計部数を提出する必要があります(ICC仲裁規則4条4項及び3条1項)。仲裁手続中の主張書面、伝達書面及び添付書類も同様です(ICC仲裁規則3条1項)。

申立書に含めなければならない情報や、申立書と共に提出すべき書類など、仲裁の申立ての際に実務上考慮しなければならない事項の詳細に関しては、下記のICCのWebsite内の情報をご覧下さい。

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なお、申立人は、申立料金として、返還されることのない前金の予納をしなければなりません(ICC仲裁規則4条4項b)及び同付属規程III)。

申立人が、十分な部数の申立書を提出し、必要な申立料金を予納した場合、ICC仲裁裁判所事務局は、申立書及びその添付書類の写しを被申立人に送付して、被申立人に対して、答弁書を提出するように求めます(ICC仲裁規則4条5項)。

なお、申立に関するICC本部又は香港にあるアジア支部のICC仲裁裁判所事務局の連絡先(北米に関連する申立のためのニューヨーク事務所の連絡先)は、下記のICCのWebsiteを参照して下さい。

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当事者は、日本の裁判所において仲裁判断に関する承認・執行決定を得る必要があります。

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【質問2.2】仲裁申立後の仲裁手続は、ICC仲裁裁判所が行うのですか。

【回答2.2】

ICC仲裁裁判所は、自ら紛争を解決するものではありません(ICC仲裁規則1条2項)。ICC仲裁裁判所は、ICC仲裁規則の適用を確保することを職務としており、紛争の解決は仲裁廷によって行われます。

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【質問2.3】仲裁申立書の書式及び記載すべき事項はどのようなものですか。

【回答2.3】

当事者が従わなければならない仲裁申立に関する書式の決まりはありません。仲裁申立書に記載すべき事項は、ICC仲裁規則4条3項の(a)から(h)に定められておりますが、特に、以下の事項を記載しなければなりません(ICC仲裁規則4条3項)。

  1. ① 当事者の氏名、名称、住所及びその他の連絡先
  2. ② 仲裁において申立人を代理する者の氏名、住所及びその他の連絡先
  3. ③ 申立に至る紛争の性質及び状況並びに請求の根拠の記述
  4. ④ 求める救済の内容(金銭的請求については請求額、その他の請求については可能な範囲で金銭的価値の見積も付す)
  5. ⑤ 関係するすべての契約、特に仲裁合意
  6. ⑥ 請求が複数の仲裁合意に基づいてなされる場合には、それぞれの請求の根拠となる仲裁合意
  7. ⑦ 仲裁人の数、並びに、ICC仲裁規則12条及び13条の規定に従ってなされる仲裁人の選定及びかかる規定が求める仲裁人の指名に関するすべての関係事項及び意見又は提案
  8. ⑧ 仲裁地、適用される法規及び仲裁の言語についてのすべての関係事項及び意見若しくは提案

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【質問3.1】仲裁を申し立てられたのですが、答弁書の提出期間はどうなっていますか。

【回答3.1】

被申立人(仲裁を申し立てられた当事者)は、ICC仲裁裁判所事務局から申立書を受領した日から30日以内に答弁書(Answer)をICC仲裁裁判所事務局に提出しなければなりません(ICC仲裁規則5条1項)。

なお、答弁書は、相手方当事者用の通数(例:相手方が2名の場合は2通)、各仲裁人用の通数(例:仲裁人が3名の場合は3通)及びICC仲裁裁判所事務局用の1通の合計部数を提出する必要があります(ICC仲裁規則5条3項及び3条1項)。仲裁手続中の主張書面、伝達書面及び添付書類も同様です(ICC仲裁規則3条1項)。

答弁書及び添付書類の写しは、ICC仲裁裁判所事務局によって、申立人に送付されます(ICC仲裁規則5条4項)。

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【質問3.2】答弁書の書式及び記載すべき事項はどのようなものですか。

【回答3.2】

当事者が従わなければならない答弁書に関する書式の決まりはありません。答弁書に記載すべき事項は、ICC仲裁規則5条1項の(a)から(f)に定められておりますが、特に、以下の事項を記載しなければなりません(ICC仲裁規則5条1項)。

  1. ① 被申立人の氏名、名称、住所及びその他の連絡先
  2. ② 仲裁において被申立人を代理する者の氏名、住所及びその他の連絡先
  3. ③ 申立に至る紛争の性質及び状況並びに申立の根拠についての意見
  4. ④ 請求に対する認否
  5. ⑤ 申立人の提案及びICC仲裁規則12条及び13条の規定に従ってなされる仲裁人の数及び仲裁人の選定、並びに、上記により必要とされる仲裁人の指名についての意見又は提案

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【質問3.3】答弁書の提出期間を延長することはできますか。

【回答3.3】

被申立人は、ICC仲裁裁判所事務局に対して、答弁書の提出期間の延長を申請することができます。ICC仲裁裁判所事務局が認めた場合には提出期間が延長されます。

但し、かかる被申立人の延長申請のためには、被申立人は、仲裁人の数及びその選定について、並びに、ICC仲裁規則12条及び13条が求める場合は仲裁人の指名について意見又は提案を述べなければなりません。被申立人がこの意見や提案を述べることを怠る場合には、仲裁裁判所は、ICC仲裁規則に従って、仲裁手続を進めることになります(ICC仲裁規則5条2項)。

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【質問3.4】被申立人は、反対請求申立をすることができますか。できる場合には、どのように行えば良いですか。

【回答3.4】

被申立人は、答弁書と併せて反対請求申立書(Counterclaims)をICC仲裁裁判所事務局に対して提出することにより、反対請求申立をすることができます。

反対請求申立書に特に書式はありません。反対請求申立書に記載すべき事項は、ICC仲裁規則5条5項の(a)から(d)に定められておりますが、特に、以下の事項を記載しなければなりません(ICC仲裁規則5条5項)。

  1. ① 反対請求申立に至る紛争の性質及び状況並びに反対請求申立の根拠についての記述
  2. ② 求める救済の内容(金銭的請求については請求額、その他の請求については可能な範囲で金銭的価値の見積も付す)
  3. ③ 関係するすべての契約、特に仲裁合意
  4. ④ 反対請求申立が複数の仲裁合意に基づいてなされる場合には、それぞれの反対請求申立の根拠となる仲裁合意

なお、反対請求申立がなされた場合、申立人は、ICC仲裁裁判所事務局より、反対請求申立書を受領した日から30日以内に、これに対する答弁書(Reply)を提出しなければなりません。但し、ICC仲裁裁判所事務局は、申立人に、この答弁書の提出期間の延長を認めることができます(ICC仲裁規則5条6項)。

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【質問3.1】仲裁を申し立てられたのですが、答弁書の提出期間はどうなっていますか。

【回答3.1】

被申立人(仲裁を申し立てられた当事者)は、ICC仲裁裁判所事務局から申立書を受領した日から30日以内に答弁書(Answer)をICC仲裁裁判所事務局に提出しなければなりません(ICC仲裁規則5条1項)。

なお、答弁書は、相手方当事者用の通数(例:相手方が2名の場合は2通)、各仲裁人用の通数(例:仲裁人が3名の場合は3通)及びICC仲裁裁判所事務局用の1通の合計部数を提出する必要があります(ICC仲裁規則5条3項及び3条1項)。仲裁手続中の主張書面、伝達書面及び添付書類も同様です(ICC仲裁規則3条1項)。

答弁書及び添付書類の写しは、ICC仲裁裁判所事務局によって、申立人に送付されます(ICC仲裁規則5条4項)。

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【質問3.2】答弁書の書式及び記載すべき事項はどのようなものですか。

【回答3.2】

当事者が従わなければならない答弁書に関する書式の決まりはありません。答弁書に記載すべき事項は、ICC仲裁規則5条1項の(a)から(f)に定められておりますが、特に、以下の事項を記載しなければなりません(ICC仲裁規則5条1項)。

  1. ① 被申立人の氏名、名称、住所及びその他の連絡先
  2. ② 仲裁において被申立人を代理する者の氏名、住所及びその他の連絡先
  3. ③ 申立に至る紛争の性質及び状況並びに申立の根拠についての意見
  4. ④ 請求に対する認否
  5. ⑤ 申立人の提案及びICC仲裁規則12条及び13条の規定に従ってなされる仲裁人の数及び仲裁人の選定、並びに、上記により必要とされる仲裁人の指名についての意見又は提案

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【質問3.3】答弁書の提出期間を延長することはできますか。

【回答3.3】

被申立人は、ICC仲裁裁判所事務局に対して、答弁書の提出期間の延長を申請することができます。ICC仲裁裁判所事務局が認めた場合には提出期間が延長されます。

但し、かかる被申立人の延長申請のためには、被申立人は、仲裁人の数及びその選定について、並びに、ICC仲裁規則12条及び13条が求める場合は仲裁人の指名について意見又は提案を述べなければなりません。被申立人がこの意見や提案を述べることを怠る場合には、仲裁裁判所は、ICC仲裁規則に従って、仲裁手続を進めることになります(ICC仲裁規則5条2項)。

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【質問3.4】被申立人は、反対請求申立をすることができますか。できる場合には、どのように行えば良いですか。

【回答3.4】

被申立人は、答弁書と併せて反対請求申立書(Counterclaims)をICC仲裁裁判所事務局に対して提出することにより、反対請求申立をすることができます。

反対請求申立書に特に書式はありません。反対請求申立書に記載すべき事項は、ICC仲裁規則5条5項の(a)から(d)に定められておりますが、特に、以下の事項を記載しなければなりません(ICC仲裁規則5条5項)。

  1. ① 反対請求申立に至る紛争の性質及び状況並びに反対請求申立の根拠についての記述
  2. ② 求める救済の内容(金銭的請求については請求額、その他の請求については可能な範囲で金銭的価値の見積も付す)
  3. ③ 関係するすべての契約、特に仲裁合意
  4. ④ 反対請求申立が複数の仲裁合意に基づいてなされる場合には、それぞれの反対請求申立の根拠となる仲裁合意

なお、反対請求申立がなされた場合、申立人は、ICC仲裁裁判所事務局より、反対請求申立書を受領した日から30日以内に、これに対する答弁書(Reply)を提出しなければなりません。但し、ICC仲裁裁判所事務局は、申立人に、この答弁書の提出期間の延長を認めることができます(ICC仲裁規則5条6項)。

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【質問4.1】ICCの仲裁手続では仲裁人の人数は決まっているのですか。

【回答4.1】

ICCの仲裁手続では、仲裁廷を構成する仲裁人の人数は1人又は3人とされています(ICC仲裁規則12条1項)。

当事者間で、仲裁人の人数につき合意がある場合は、仲裁人の人数は、当事者の合意によって1人又は3人のいずれかに決まります。

これに対して、当事者間に合意が無い場合には、ICC仲裁裁判所によって、原則として単独仲裁人が選定され、ICC仲裁裁判所がその紛争について3人の仲裁人を選定することが妥当であると認める場合には、3人の仲裁人が選定されます(ICC仲裁規則12条2項)。

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【質問4.2】仲裁人はどのようにして選定されるのですか

【回答4.2】

当事者が単独仲裁人による紛争の解決に合意している場合は、当事者が合意によって単独仲裁人を指名して、ICC仲裁裁判所に確認を求めることになります(ICC仲裁規則12条3項前段)。

但し、仲裁申立書を被申立人が受領してから30日以内、又は事務局が認める追加期間内に当事者の合意によって単独仲裁人が指名されない場合は、ICC仲裁裁判所が仲裁人を選定します(ICC仲裁規則12条3項後段)。

当事者が3人の仲裁人による紛争の解決に合意している場合は、各当事者は申立書及び答弁書の中でそれぞれ1人の仲裁人を指名し、ICC仲裁裁判所による確認を求めます(ICC仲裁規則12条4項前段)。この場合に、当事者による1人の仲裁人の指名がされない場合には、当該仲裁人に関してICC仲裁裁判所が選定します(ICC仲裁規則12条4項後段)。

仲裁廷の長となる第三仲裁人は、ICC仲裁裁判所によって選定されます(ICC仲裁規則12条5項第1文)。

但し、当事者が第三仲裁人の選定に関して別段の手続を合意している場合は、合意されている手続に従って選定が行われます(ICC仲裁規則12条5項第2文)。この場合、ICC仲裁規則13条に定める確認を条件として指名がなされます(ICC仲裁規則12条5項第3文)。なお、共同仲裁人の確認若しくは選定より30日以内、又は、当事者若しくはICC仲裁裁判所の定めた期間内に、当事者が合意した別段の手続により第三仲裁人の指名がなされない場合には、仲裁廷の長となる第三仲裁人は、ICC仲裁裁判所によって選定されます(ICC仲裁規則12条5項第4文)。

上述のように、当事者間に合意が無い場合には、ICC仲裁裁判所によって、原則として単独仲裁人が選定されますが、ICC仲裁裁判所がその紛争について3人の仲裁人を選定することが妥当であると認める場合には、3人の仲裁人が選定さます。この場合には、申立人が仲裁裁判所の仲裁人の人数に関する判断の通知を受領してから15日の期間内に1人の仲裁人を指名しなければならず(ICC仲裁規則12条2項第3文)、被申立人も申立人による指名の通知を受領してから15日の期間内に1人の仲裁人を指名しなければならないとされています(ICC仲裁規則12条2項第4文)。仲裁廷の長となる第三仲裁人は、ICC仲裁裁判所によって選定されます(ICC仲裁規則12条5項第1文)。

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【質問5.1】申立書や及び答弁書等の仲裁に関する記録はいつ仲裁人のもとに送付されるのですか。

【回答5.1】

ICC仲裁裁判所事務局は、ICC仲裁裁判所事務局が求めた予納金が支払われていることを条件として、仲裁廷の構成後直ちに、申立書及び答弁書等の仲裁に関する記録(一件記録)を仲裁廷に送付します(ICC仲裁規則16条)。

この一件記録は、申立書及び答弁書を含む、ICC仲裁裁判所事務局がそれまでに受領した主張書面、添付書類及び通信記録(コレスポンデンス)によって構成されています。

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【質問5.2】申立書及び答弁書等の仲裁に関する記録が仲裁廷に送付された後の書面の提出はどのような方法で行なえばよいのでしょうか?

【回答5.2】

申立書及び答弁書等の仲裁に関する記録が仲裁廷に送付されて以降は、当事者は全ての主張書面、添付書類及び書面での通信を、仲裁廷を構成する仲裁人及び仲裁当事者にそれぞれ直接送付し、それらの写しをICC仲裁裁判所事務局にも送付することになります。

通常の場合、仲裁廷は、当事者に対して、主張書面及びその他の書面でのやり取りの方法に関して指示をします。

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【質問6.1】「仲裁地」と仲裁の会議及び審問手続が実際に行われる場所が異なる場合があると伺いました。「仲裁地」とはどのような概念なのでしょうか。

【回答6.1】

「仲裁地」とは、仲裁手続といずれかの国の法体系とを連結するための法的な概念であって、実際に仲裁手続が行われる場所ということではなく、それとは全く関連のない地であっても構わないとされています。

ICC仲裁規則に定めのない事項については仲裁地の属する国の仲裁法が適用されることになりますし、仮に将来仲裁判断の取消訴訟をする場合には、多くの国では、当該訴訟は仲裁地国裁判所の専属管轄であるとされています。また、仲裁判断の承認・執行の局面においても、仲裁地がどこの国に属しているのかは、一定程度影響を及ぼす場合があります。したがって、「仲裁地」の概念は非常に重要な意味を有しています。

仲裁地は、当事者間の合意がある場合には合意内容にしたがって決定され、合意がない場合には仲裁裁判所によって決定されます(ICC仲裁規則18条1項)。

実際に審問手続及び会合等の仲裁手続を行う場所については、当事者に別段の合意がない限りは、当事者と協議の上、仲裁廷が適切と思料する場所で開催することができます(ICC仲裁規則18条2項)。

また、仲裁廷による協議は、仲裁廷が適切と思料する場所で行うことができます(ICC仲裁規則18条3項)。

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【質問7.1】仲裁手続における言語はどのようにして決定されるのですか。

【回答7.1】

仲裁手続において使用する言語については、当事者間の合意がある場合にはその合意にしたがい決定されます。そのような合意がない場合には、契約書に使用されている言語を含む全ての事情を十分に考慮して、仲裁廷が仲裁に使用する一つ又は複数の言語を決定します(ICC仲裁規則20条)。

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【質問8.1】仲裁に関する準拠法はどのようにして決定されるのですか。

【回答8.1】

まず、紛争の本案に適用すべき法規(契約の準拠法)については、当事者が自由に合意することができます。かかる当事者の合意がない場合には、仲裁廷が適当と認める法規を適用することができます(ICC仲裁規則21条1項)。

なお、仲裁廷は、いかなる場合にも、当事者間の契約条項及び関連する取引慣行を考慮しなければなりません(ICC仲裁規則21条2項)。

一方、仲裁手続が準拠すべき法律に関しては、ICC仲裁規則19条が、「仲裁廷の行う手続は、仲裁に適用されるべき国内手続法の言及の有無を問わず、本規則、および、本規則に定めがない場合には当事者が合意した規則、または合意がない場合には仲裁廷が合意した規則により規律される」と定めています。

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【質問9.1】付託事項書(Terms of Reference)とはどのようなものですか。

【回答9.1】

付託事項書(Terms of Reference)とは、仲裁手続の比較的に早い段階において、仲裁廷に付託されている事項を明確にするために、仲裁廷により作成される書面です(ICC仲裁規則23条1項)。

付託事項書には、具体的には、以下の事項が含まれます(ICC仲裁規則23条1項)。

  1. ① 当事者及び仲裁において当事者を代理する者の氏名、名称、住所及びその他の連絡先
  2. ② 仲裁手続においてなされる通知及び伝達がなされる住所
  3. ③ 当事者の各申立の概要及び求める救済の概要(金銭的請求については請求額、その他の請求については可能な範囲で金銭的価値の見積も付す)
  4. ④ 仲裁廷が不適切と思料しなければ、判断すべき争点の明示
  5. ⑤ 仲裁人の氏名、住所及びその他の連絡先
  6. ⑥ 仲裁地
  7. ⑦ 適用すべき手続規則の詳細、及び仲裁廷に友誼的仲裁人として行動する権限又は衡平と善に基づき決定する権限が付与されている場合にはその権限

付託事項書には、当事者及び仲裁廷の署名が要求されます(ICC仲裁規則23条2項第1文)。仲裁廷は、原則として、一件書類を受領してから2カ月以内に、署名のなされた付託事項書をICC仲裁裁判所に送付しなければなりません(ICC仲裁規則23条2項第2文)。

当事者のいずれかが付託事項書の作成への参加、又は付託事項書への署名を拒否した場合であっても、付託事項書はその承認を求めるためにICC仲裁裁判所に提出されなければなりません(ICC仲裁規則23条3項前段)。

付託事項書が当事者及び仲裁廷により署名された場合、又は、ICC仲裁裁判所の承認がなされた場合、仲裁手続は進行します(ICC仲裁規則23条3項後段)。

なお、仲裁廷は、付託事項書の作成の際又は付託事項書の作成後できるだけ早い段階で、仲裁手続の手続上の措置(当事者の別段の合意に反しない範囲で、仲裁廷が効率的な事案管理の確保のために当事者と協議の上で講ずる手続上の措置)について当事者と協議するために、準備会合を開催するものとされています(ICC仲裁規則24条1項)。かかる会合の途中又は後に、仲裁廷は、仲裁の遂行のために仲裁廷が従う手続予定を作成するものとされており、制度として、仲裁手続の迅速かつ的確な進行を促しています(ICC仲裁規則24条2項)。

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【質問9.2】付託事項書に署名を行うことにより、当事者は、付託事項書に記載された事実を争えなくなるのでしょうか。

【回答9.2】

付託事項書は各当事者の立場を示すものではありますが、紛争に関における事実に関する当事者間の合意を含むものではありませんので、付託事項書への署名によって事実を争えなくなる訳ではありません。

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【質問9.3】付託事項書への仲裁当事者及び仲裁廷による署名、又は、ICC仲裁裁判所による付託事項書の承認がなされた後に、当事者は、新たな申立(又は反対請求申立)を行うことはできないのでしょうか。

【回答9.3】

付託事項書への署名又はICC仲裁裁判所による付託事項書の承認がなされた後は、原則として、新たな申立又は反対請求申立の性質、仲裁の段階及びその他の関連事情を考慮した上で仲裁廷が正当と認めることがない限り、当事者は、付託事項書の範囲を超える新たな申立又は反対請求申立をすることはできません(ICC仲裁規則23条4項)。

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【質問10.1】仲裁廷の呼出しにも関わらず被申立人が審問に出頭しない場合、審問手続を行うことはできないのでしょうか。

【回答10.1】

審問が開催される場合、仲裁廷は、適切な通知をした上で、指定した日及び場所の審問に当事者を呼び出さなければならないとされており(ICC仲裁規則26条1項)、適式な呼出しがされたにもかかわらず正当な理由なく当事者のいずれかが出席しない場合には、仲裁廷は審問を進める権限を有しています(ICC仲裁規則26条2項)。

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【質問11.1】ICCの仲裁手続に必要な費用はどのようなものか教えて下さい。

【回答11.1】

仲裁にかかる費用の項目としては、

  1. ①仲裁人の報酬及び費用並びにICC仲裁裁判所により決定されるICCの管理費用
  2. ②仲裁廷によって選定された鑑定人の報酬及び費用、並びに
  3. ③仲裁手続のために当事者に生じた合理的な法的費用その他があります(ICC仲裁規則37条1項)。

なお、仲裁費用の額及びいずれの当事者が費用をいかなる割合で負担すべきか否かは、終局判断において決定されます(ICC仲裁規則37条4項)。

大まかな費用計算につきましては、下記のICCのWebsite内にある“Cost calculator”もご利用下さい。

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【質問11.2】終局判断によって分担の割合が決定される仲裁費用には、それぞれの当事者の弁護士の費用も含まれるのでしょうか

【回答11.2】

仲裁費用には、仲裁手続のために当事者に生じた合理的な法的費用その他が含まれますので(ICC仲裁規則37条1項)、当事者の弁護士費用も含まれることがあります。

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【質問12.1】仲裁手続にかかる期間はどれくらいですか。

【回答12.1】

審理期間は事案によって異なり、一概にはお答えできません。もっとも、仲裁判断までの期間について当事者及び仲裁廷との間で合意することは可能です。

ICC仲裁規則38条1項は、「当事者は、本規則に定められた種々の期間の制限を合意により短縮することができる。但し、仲裁廷が構成された後に締結された合意に関しては、仲裁廷が認めた限りにおいて有効なものとする」と定めています。

また、ICC仲裁規則38条2項は、「仲裁裁判所は、仲裁廷又は仲裁裁判所の本規則上の責務の遂行のために必要と判断した場合、前項に従い変更された期限変更を職権により延長することができる」と定めることにより、ICC仲裁規則38条1項の規定を補足しています。

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【質問13.1】ICC仲歳裁判所による解決を図る旨を定めた契約を締結するにあたって、事前にICCの同意は必要でしょうか。

【回答13.1】

いいえ、必要ありません。また、仲裁裁判所はそのような同意を与えることはできません。

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【質問13.2】ICC仲裁裁判所への仲裁申立てを行う場合には、ICC日本委員会に取り次いでもらうことは可能でしょうか。

【回答13.2】

日本委員会で取次ぎは行っておりません。全ての仲裁の申立ては、パリにあるICC本部又は香港にあるアジア支部のICC仲裁裁判所事務局に提出して下さい。

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【質問13.3】ICC仲裁はICC会員以外でも利用することができるのですか?

【回答13.3】

ICC仲裁はICC会員でなくとも利用することができます。

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【質問13.4】ICCは、仲裁以外の紛争解決サービスを提供していると聞きましたが、どのようなサービスを提供しているのですか?

【回答13.1】

ICCは、仲裁以外にもADRサービスを提供しています。ICCが提供しているサービスには、以下のようなものがあります。

ICC Mediation

ICCは、ICC Mediation Rulesの下で、紛争当事者が、第三者の助力を得て紛争を友好的に解決する枠組みを提供します。ICC Mediation Rulesの内容や、調停(mediation)の手続など詳細な情報については、下記のICCのWebsiteをご参照下さい。

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ICC Expertise

ICCは事業遂行に関連する技術的事項、法的事項、財務的事項その他の分野に関する事項について、当事者から独立した立場での査定を行なう適切な人物を見つけることができます。ICCは専門家の提案をすること、専門家を選任すること、専門家手続を運営することができます。より詳細な情報を知りたい方は、下記のICCのWebsiteをご覧下さい。

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ICC Dispute Boards

Dispute Boardは、契約を履行する際に生じる意見の不一致及び紛争を解決することを支援するために用意された、独立の立場にある機関です。ICCは様々な事業分野の幅広い範囲の契約につき、Dispute Boardsを設立・運営するための包括的かつフレキシブルな枠組みを提供する書類一式を用意しました。より詳細な情報を知りたい方は、下記のICCのWebsiteをご覧下さい。

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ICC DOCDEX

ICCは、適用可能なUCP・URR・URC又はURDG(ICCの財務に関する規則)のもとでの迅速な紛争解決を促進するために、ICC Banking Commissionによって作成された“ICC Rules for Documentary Instruments Dispute Resolution Expertise (DOCDEX)”も管理しています。より詳細な情報を知りたい方は、下記のICCのWebsiteをご覧下さい。

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